カフェを開業するための資金はいくら必要か

カフェ店を経営したいと思っている方はたくさんいると思いますが、開業時に費用がいったい、いくらかかるのかを把握している人は少ないと思います。
開業資金の内訳を、大きく分けて見てみると、物件取得費、内装工事費、厨房機器購入費、開業直近の雑費や開業後の運転資金になります。
ここでは、居抜き店舗とスケルトン店舗での費用の違いをはじめ、実際に弊社が受けもったカフェ店の開業費用をご紹介します。

居抜き店舗の費用

優良な居抜き物件

即営業が可能な優良居抜き物件の場合であれば、店舗取得費と運転資金で開業出来そうです。※運転資金は仕入れ代金、人件費、家賃、その他経費を指します。
費用は概ね、200~300万円ぐらいで可能です。

本来、運転資金は、開業時に必要なものではないという人もいるでしょう。
例えば、計画通りの売上、計画通りの支払いであれば、お店は黒字になり繁盛しているからです。

しかし実際には、オープン直後の店舗ほど、売上や運営費が安定しない場合がおおく、スタッフも定着しないなどの理由から、求人費など不要の出費が重なりやすいのです。
ある程度、手持ちの資金に余裕がないと、食材の仕入れが出来なくなっていまい、お店の営業に支障が出てしまいます。

開業後、数か月経過して売上が安定してくると、資金計画も立てやすくなります。
それまでの間は、運転資金として現金を用意しておきましょう。
運転資金の目安は、1カ月の利益の3倍以上と言われております。

一般的な居抜き物件

一般的な居抜き物件の場合、多かれ少なかれ、手直しや修理が必要です。
例えば、店舗の内装やエアコン、給湯器、排気フードなどの既存設備に不具合があったり、必要な厨房機器が、揃っていないことがほとんどです。

もちろん、そのままでカフェ店はオープンできませんので、様々な手直しや修正、追加購入が必要になります。
そうは言っても、スケルトンから工事するよりも、居抜き物件の場合は断然安価で済ませることが可能なのです。

厨房機器

前のオーナーが残していった厨房機器(残置物)を使用する時は、運転確認をしてください。
修理が必要な場合が多く、オープンまでに正常な状態に戻す事が必須です。
修理代については、100万円前後の準備で良いでしょう。
しかし、必要な機器が不足しているなら、新たに買い足す必要があります。
費用は、買い足す機器の台数によりますので、一概には言えません。
後ほど紹介する、過去の実例を参考にしてください。

内外装費

店舗の内装状態が酷い場合は、店舗のクロスを全て貼り替えるケースもあり、100万円以上の費用になることもあります。
店舗の入り口や外観、看板などをリニューアルするなら、さらに100万円以上は必要でしょう。

一般的な居抜き物件で開業するなら、店舗取得費、運転資金、追加工事(修理費)など500万円以上の予算をみておけば良いと思います。

スケルトンの場合

スケルトンの場合は、物件には何もありませんので、すべての資金を足し算方式で計算しましょう。
物件取得費と運転資金、厨房機器の購入費、そして工事費です。
スケルトンの場合、居抜きに比べて、工事費が高くなります。

工事費は、お店のコンセプトや店内の内装に対してオーナーが求めるグレードによって、大幅に変動します。
もし、庶民的な仕様で工事を行うなら、一坪あたり40万円前後でしょう。
高級感のあるグレードに仕上げようとすれば、一坪あたり80万円以上が目安です。
上記に椅子やテーブル費用は含んでいません。

客席数の違いによる資金の目安

一般的な10席以下のカフェ店の場合
小さな店舗であれば、必要最小限度の小型製氷機や小型冷蔵庫、エアコンなど、設備費用は少額ですむケースが多いでしょう。

もちろん店舗取得費用や運転資金も比較的少額で済みます。
物件取得費として50万円、運転資金50万円、厨房機器の購入費用100万円、内装工事費300万円ぐらいでしょうか。

一般的な30席のカフェ店の場合

小型店舗と比べると、空き物件が多く、自分の好みに合った、お店探しが出来るかもしれません。
店舗取得費が100万円、運転資金が100万円、厨房機器の購入費用200万円、内装工事費用800万円が目安でしょう。

趣味の延長戦で始める、小ぢんまりとしたアットホームなカフェであれば、10坪程度の物件で開業するのが良いと思いますが、ビジネス目的の場合なら、20坪程度の広さを持つ物件の方がお薦めです。

コンセプトの違いによる資金の目安

席数が同じ場合でも、お店のムードやコンセプトにより、開業資金の金額が大きく変わってきます。

回転率重視の店舗

大手コーヒーチェーン店のように、単価が安く、回転率重視の店舗であれば、準備する椅子やテーブルなどの備品は、比較的汎用性の高い安価な物で良いでしょう。

長期滞在型の方が初期投資は大きい

回転率の低い長期滞在型の店舗であれば、長期間座っていても、疲労がなくゆったりとくつろげる様に、ある程度高価な椅子やテーブルなどを用意した方がよいと思います。
初期費用は回転率重視のお店より 2 倍ぐらいは、多めに見積っておけば良いでしょう。

資金調達

資金調達にも様々な方法があります。
自己資金だけでなく、金融機関から融資を受けて開業する人が沢山います。
厨房機器が、比較的少ないカフェ店は、初期投資の費用が少額になりやすく、融資も通りやすいと言えます。
また、お金を借りる以外に、補助金や助成金などを活用することも、お勧めします。
他には、出資してもらうという方法もあるでしょう。
クラウドファンディングなどが、その例です。
ただ、クラウドファンディングは、よほど条件が揃わない限り、活用することが難しい狭き門でもあります。

カフェ店開業資金の実例

大型カフェ 店内40席 テラス15席 八尾市

物件取得費

150万円

工事費

300万円 工事期間8週

厨房機器費

300万円

運転資金

200万円

幹線道路に面する50台の駐車場と席数が55席の大型店舗。
もともと、地元で有数の有名な喫茶店を、新しいオーナーがリニューアルして、オープンしたお店です。

アメリカ好きなオーナーが、趣向を凝らしたワイルドなアメリカンスタイルのカフェです。
オーナーと同じ趣味を持った、アメ車好きのお客様が集まることでも、有名なお店になりました。

オーナーは、インターネットを使い、空き物件専門のサイトを利用して、この物件を格安で確保しました。
オーナーはもともと店舗の施工経験があったので、通常は工事業者に店舗工事を発注しますが、自社施工を行うことで、大幅な工事費の削減を行いました。

厨房機器においても、前オーナーが残していた機器を、可能な限り再利用することで、購入資金をおさえることに成功しました。

オーナーの施工会社は、飲食専門の施工会社ではなかったので、工事期間は通常の工期よりも 3 週間ほど長くかかってしまいましたが、工事費用のみをみれば、なんと 500 万円以上の削減になりました。減額方法としては大成功と言えるでしょう。

うどんカフェ 32席 大阪市

物件取得費

200万円 20坪

工事費

1200万円 工事期間6週間

厨房機器費

500万円

運転資金

150万円

うどんを提供しているとは思えないような、お洒落な雰囲気のカフェです。
美味しいダシと、粉から作った、打ち立ての麺を食べられるのが、特徴的なお店です。

うどんだけでなく、明るい基調の店内は、ランチタイムが終わった後も、ゆっくりとくつろげる落ち着いた雰囲気が人気となっています。

客席作りも、工夫がされていて、15名前後のグループがミーティングをしながらカフェを楽しめるレイアウトがなされています。
ひとりでも、大人数でも十分に収納できる、工夫されたレイアウトです。

カフェ店 2階建て 12席 神戸市

物件取得費

60万円 12坪

工事費

100万円 工事期間2週間

厨房機器費

120万円

運転資金

70万円

ここの女性オーナーは、10年間の飲食店経験を経て、独立されました。
近くには専門学校もあり、駅から徒歩5分の住宅地に立地する、静かなカフェ店です。
地元の方々の、散歩道に位置するため、認知度も高く、地域に愛されるお店となりました。

店舗の2階には、雑貨やカップなどが販売されており、オーナーが淹れたドリップコーヒーを、カウンターで楽しみながらゆっくりとした、時間を過ごすことが出来るスローカフェです。

開業にあたっては、既存の厨房機器がほぼ揃っていましたが、一人で運営するために必要な食器洗浄を、追加で導入しました。
加えて、食材の保存に不可欠な、テーブル型の冷蔵庫と、カップケーキを作るためにガスオーブンも新商品を導入しました。

カフェ店 2階建て 24席カウンター8席 大阪市

物件取得費

300万円 30坪

工事費

1000万円 工事期間6週間

厨房機器費

300万円

運転資金

150万円

1階の厨房にある、デッキオーブンで焼いたスポンジケーキやクッキーが、人気のお店。
店内入り口付近に設置した、ディスプレーショーケースでも販売しています。
2階はカウンター席となっており、洋食調理の経験があるコックさんがステーキやハンバーグなどの料理を提供しています。
幹線道路から一歩離れた通りに位置したお店は、開業後まもなく、地元のお客様からリピートされる繁盛店となりました。

思いでのエピソードは、厨房機器の搬入当日に起こりました。
もともと予定していた機器類は、問題なく無事に搬入、設置出来ました。
しかし、オーナー様が単独で購入していた縦型冷蔵庫が、現場に突然到着致しました。
こちらの冷蔵庫の寸法が大きく、2階へ上がる階段を通ることが出来なかったのです。
運ぶことを断念した私は、2階の窓からロープで冷蔵庫を吊り上げることにしました。
突然の追加作業でしたが、無事に設置することが出来ました。

カフェ店 6席 吹田市

物件取得費

90万円 6坪

工事費

100万円 工事期間1週間

厨房機器費

50万円

運転資金

40万円

閑静な住宅街にあるマンションの1階で開業した小さなカフェ店です。
近隣には飲食店が、ほとんどない様な立地条件のなか、マフィンの販売を地域住民向けに行っています。

10年ほど使われていた居抜き物件を、新たにカフェ店として工事した店舗です。
居抜き店舗の状態は、厨房の中で手洗いが出来る設備がなく、床も排水がなく汚れていて不衛生でした。
改装工事に伴い、店舗の内外装は勿論、厨房機器の見直しや、厨房内の床を水洗い出来るようにする打ち合わせも行いました。

通常、床工事であれば、コンクリートを使った防水工事が主流ですが、工事期間と費用が高くなってしまいます。
今回は、費用も時間もあまりなかったので、コンクリートを使わずに水洗いも出来る工法で工事を行いました。

マフィンやカフェを作るための厨房機器も、狭い厨房に納まるように選定し直したり、コストを下げるために家庭用の冷蔵庫を利用しました。

カフェ 38席 枚方市

物件取得費

260万円 38坪

工事費

1100万円 工事期間5週間

厨房機器費

210万円

運転資金

190万円

オーナーが厳選したコーヒー豆を、様々な飲み方で楽しむことが出来る、カフェ専門店です。
素材へのこだわりを一番にしたこのお店は、コーヒーだけでなく、軽食やインスタ映えするデザートも提供しています。

三方ガラスで囲まれている、光がたくさん入る広い店内は、席同士の間隔が広めにとられていて、静かに長時間過ごすには、ぴったりのお店です。

既存品が1台もない居抜き物件でしたが、ステンレス商品以外の厨房機器は、すべて中古品で揃えた為、新品なら300万円以上する機器を、半額の150万円で揃えました。

中古品で用意する場合、オーナー様がご自身で買い集めることがしばしばあります。
オーナー様が単独で厨房機器を直接購入した時ですが、中古品の動作に必要な建物側の設備管理を十分に行う事が出来ない事が多く、結果的に使えないというトラブルがあります。しかし、今回は弊社が機械の設備管理を行ったので、すべての機器が問題なく使えました。

※設備管理とは、搬入した厨房機器が正常に動作するよう工事業者と連携を取る事です。
厨房機器の墨出しと呼ばれる工事開始直後に、厨房機器に必要な設備の指示や工事途中で予定通りに施工されているかの確認をすることが主な役割です。

  • カフェが成功する厨房レイアウト
  • カフェ喫茶店の厨房機器
  • カフェ居抜き物件の活かし方
  • カフェ、オープンキッチン編
  • カフェ、クローズキッチン編
  • 成功するカフェ開業の方法
  • ホーム

厨房機器の購入なら飲食店開業コンサルタントにおまかせ

厨房機器の購入なら飲食店開業コンサルタントにおまかせ